打海文三『愛と悔恨のカーニバル』
Twitterのタイムラインだったかでこの著者の名前を見て、それが絶賛する旨のツイートだったので、この人が言うんだったら読んでみようかなと思って、読んでみたのだった。
激烈におもしろい。おそろしいテンポのはやさと極端ともいえる説明的叙述の短さ。ドパガキがうんぬんとかいわれているけどこの本は本当に「速い」。初読の作家なんだけど、どうやらシリーズものの最終巻らしい。それでも問題はなかった。アメリカのハードボイルド小説のような地の文と会話文。もろに影響を受けているかんじを隠さない潔さがあるというか。これを読んで、会話文ってこうでもいいのか、いやそれがいいのだ、という新鮮さを覚えた。
三人称多元視点でころころ視点がスイッチするのだが、この小説にかぎってはその視点移動が読み味として散漫になるのではなく強烈なおもしろさの核となっている。主人公は姫子という19歳の女の子。地の文で表現される感情の揺れが明瞭に表現されていてかつ魅力的で、ページをくっていて高揚した。その揺れは、思春期特有のすねたようなとげとげしさはなく、対象を想うがゆえの逡巡で、いうなれば誠実。いいたいことはいうし、表情にも出す。その人物造形がいい尽くせないぐらい魅力的だった。
ほか、ラスト付近に気に入らない描写もあるにはあったけど、今回は省略する。書きたくないわけではなく、ひとつの本の感想をながながと書いてもしょうがないからぶっきらぼうにここで切ることにする。